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モーターコイルメンテナンスの必要性

突然設備が停止する事態は避けなければならない

モーターコイルメンテナンス
少なくとも10年位前まで各工場にはベテランの保全の方がいらっしゃって、その方々が設備の異常に比較的敏感だったと思いました。その保全の方が異常を感じると設備異常のシグナルを挙げ、設備メーカーに依頼したり自分たちで出来る範囲で修理したり対応しているイメージでした。設備メーカーも数日から一週間程度では対応できていた記憶を持っています。
しかし最近では設備メーカーに依頼しても対応期限が過ぎているのでと新品の購入を勧められたり、対応自体を断られたりする事態になっています。
自分たちが以前納めた設備の対応期限が切れたからと言って、対応すらしてもらえない時代。そのような国に日本はなりつつあります。
少なくともそのような時代になったことは自覚し、自分たちの設備の状況・リスクは管理すべきと思います。最近のモーター修理の依頼時にはかなりの確率で、設備が止まってしまった。毎日1000台の生産が止まっているなど悲痛な声が届いています。
モーターから異音(金属音)がしないか?モーターから振動がしないか?ベアリング交換が10年以上未実施など、設備保全に対する興味を持ってほしいと願っています。
異音や異臭、振動のある車にはそのまま乗らないはずです。同じ事だと思います。設備が異常停止すれば確実に売上や信頼に影響します。信頼などはプライスレスです。モーターだけとは当然言えませんが、設備の平時と異常時に興味を持っていただければと思います。

モーターコイルメンテナンスの実例

国立天文台の電波望遠鏡

モーターコイルメンテナンス
定期的なメンテナンス作業の先駆けは、国立天文台の電波望遠鏡でした。高萩にある32mのアンテナが安川製3.7kWカップモーター4台で動く仕様になっています。もともとはKDDIの静止衛星の電波受信用だった物です。その状態でのアンテナの駆動は、動いても数センチレベルと聞かされました。随分前の記憶なので間違っているかもしれませんが、少なくとも数メートルというレベルではありません。つまりモーターはほとんど動かない仕様だったのです。これがKDDIから国立天文台に移管され、電波望遠鏡として生まれ変わることとなりました。
電波望遠鏡は観測位置を煩雑に変えたりしながら天体のデータを集めます。つまりモーターの駆動時間は以前の100倍でもきかないレベルへ増加しました。この駆動時間がモーターを電波望遠鏡としては早期の絶縁破壊に導きました。そして修理の検討が始まるのです。
このモーター故障の時には、既に安川製カップモーターはメーカー修理が難しい状態に陥っていました。結果として国立天文台は安川電機から修理不能を告げられます。
当時はまだ安川電機製のカップモーターの中古は少しあったのですが、電波望遠鏡用のスペシャル仕様だったため、事態は混迷を極めました。結論としてこの安川電機製のカップモーター修理には、予備機を含め5台の修理に1年の期間を費やすこととなるのです。

エンジンガスケットの製造工場

モーターコイルメンテナンス
この件も始まりは偶然に近かったです。もともとは別のメーカー様がモーターのメンテナンス業務を担当されていたようでした。ある日突然会社に商社の方から連絡がありました。高圧の油圧発生装置で不具合があり緊急で助けてほしいという要望でした。現地に駆けつけてみると、モーターとポンプのカップリング結合部分で不具合が発生していました。数週間前に交換したばかりとの情報です。
このカップリング結合部は残念ながら適切な結合がされていませんでした。
修復作業後に現場の担当の方に聞かされたのですが、音が小さくなったと伝えられました。あきらかに以前の結合が適切ではなかったのです。
カップリングの結合は寸法を測れば見えてきます。しかし音でもわかるケースもあるのです。
このケースの後、工場全体のモーター点検を行い、異常個所を見つけながら予防保全を行っています。少しでも異常に気付きやすくなればと思います。

モーターコイルメンテナンスの今後

交換用モーターが購入できない現実

モーターコイルメンテナンス
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モーターコイルメンテナンス
制御系が変えられない、既に販売が終了している、互換機がない、発注してもいつ入荷するかわからないなど、最近のモーター事情は複雑になってきています。
またコイルを巻き替えればいい、中古を探せばいいといっても種々ある選択ミスにより、修理後に直ぐ破損するなどの問題も散見されます。
防爆仕様のモーターは可燃性の大気中で使用されるモーターです。もしシールが不完全な状態でモーターが焼損したら爆発や火災が起きる可能性があります。
安川電機製のカップモーター、ハイカップモーターは基本的に修理を行っている会社はありません。構造的にも修理に向かない消耗品仕様です。
ネオジウム磁石を使用したPMモーターは、ベアリングが長持ちしたり、効率が良かったり利点が多いですが、ベアリング交換に困難を極める仕様が多いです。メーカーが修理しない時期まで使用する予定なら注意が必要です。
いろいろ書けばキリがないレベルですが、自分たちが使用している設備を長く使用するためのリスクはマネージメントするべきと思います。
止まってからでは遅いですし、今までの日本とは異なった返答にも驚くことになる可能性があります。設備の延命に危機感を感じられたならば、よろこんでモーターコイルの定期的なメンテナンスをお手伝いさせていただきます。少しでも日本の生産性の向上になればと考えております。