三和電機が実践する「ひと手間」が、モーターの寿命を劇的に延ばす理由
~高耐久・耐熱を実現する「ガラス繊維強化」巻き替え技術~

導入:そのモーター修理、本当に「万全」ですか?

工場の心臓部であるモーター。万が一の故障時には、迅速な修理・巻き替え(リワインド)が求められます。しかし、「修理したばかりなのに、また同じようなトラブルが起きた」「以前より熱を持つようになった」「振動が大きくなった気がする」といったご相談をいただくことも少なくありません。
これらのトラブルの多くは、モーター内部の「コイル」を、運転中の過酷な環境(熱・振動・遠心力)から守る処理が不十分な場合に発生します。

課題:標準的なモーター修理(巻き替え)の限界

課題:標準的なモーター修理(巻き替え)の限界こちらは、新しくコイルを巻き直した直後のステータ(固定子)です。この後、コイルを絶縁・固定するために「絶縁ワニス(ニス)」を含浸させ、硬化させます。
しかし、一般的な丸線(銅線)を使ったコイルの場合、この標準的なワニス処理だけでは、構造的な弱点が残りがちです。
1.流れ落ちるワニスと、残る「隙間(ボイド)」
丸い線を束ねているため、線と線の間には無数のミクロな隙間(空気層)ができます。ワニスを塗布しても、重力で流れ落ちやすく、コイルの奥深くまで浸透しきらずに表面だけが固まり、内部に「空気の層」が残ってしまうことがあります。
2.「熱」が逃げられない
運転中にコイルで発生した熱は、この「隙間(空気層)」に阻まれます。空気は最悪の熱伝導体(=断熱材)の一つであり、熱が効率よく鉄心(コア)へ伝わりません。結果、コイルが放熱できずに異常高温となり、絶縁被膜が劣化して焼損(ショート)に至るリスクが高まります。
3.「振動」に耐えられない
ワニスが不十分だと、個々の銅線が完全に固定されません。モーター運転中の電磁的な力による微細な「振動」や、遠心力によって、線同士が擦れ合います(フレッティング)。この微細な擦れが、時間をかけて絶縁被膜を摩耗させ、最終的に短絡(レアーショート)や断線を引き起こすのです。

解決策:三和電機の「ガラス繊維・バインディング処理」

そこで私たち三和電機は、特に過酷な環境(高熱、高振動、高負荷)で使用されるモーターや、高い信頼性が求められる重要設備の巻き替え修理において、標準工程に加えて非常に手間のかかる「特別なひと手間」を加えています。
それが「ガラス繊維によるコイルエンド補強処理」です。
「ガラス繊維によるコイルエンド補強処理」これは、コイルの鉄心から出ている部分(コイルエンド)に、絶縁性と耐熱性に優れたガラス繊維のテープを、熟練した技術者が手作業で、一巻き一巻き、強い張力をかけながら隙間なく巻き付けていく作業です。
なぜ、これほどの手間をかけるのか?
それは、この処理こそが、先ほどの「熱」と「振動」という根本的な弱点を克服する、最も確実な方法だからです。

圧倒的な差を生む「3つの効果」

この地道な手作業が、ワニス含浸工程で真価を発揮します。
熟練した技術者が手作業で、一巻き一巻き、強い張力をかけながら隙間なく効果1:【耐熱性の飛躍的向上】 ワニスを「吸い上げ、保持する」
ガラス繊維の層は、毛細管現象によって液体ワニスを強力に吸い上げ、まるでスポンジのように大量に保持します。重力で流れ落ちることを物理的に防ぎ、コイルの内部深くまでワニスを強制的に充填します。
結果、熱伝導を妨げる「空気層」を徹底的に排除。コイルで発生した熱を、ワニスとガラス繊維が効率よく鉄心側へ伝え、モーター全体で放熱できるため、熱による焼損リスクを極限まで低減します。
効果2:【耐振性の劇的向上】 コイルを「FRP化」し、一体化する
ワニスがガラス繊維に含浸して硬化すると、コイルエンドは単なる銅線の束ではなく、極めて強固な「FRP(ガラス繊維強化プラスチック)」の塊と化します。
これにより、モーター運転中の激しい電磁振動や機械的振動、回転による遠心力に対しても、コイルは微動だにしません。線同士の擦れによる絶縁劣化を完全に防止し、断線や短絡トラブルをシャットアウトします。
効果3:【信頼性の長期維持】 絶縁性能の安定化
湿気やホコリ、油分といった外部環境からの影響も、この強固なFRP層がブロックします。これにより、絶縁性能の長期的な安定を実現し、モーターの寿命を大幅に延長させます。

結論:お客様の「止まらない工場」のために

標準的な修理は「元の状態に戻す」ことかもしれませんが、三和電機の巻き替え修理は「元の状態よりも強く、長持ちさせる」ことを目指しています。
この「ガラス繊維補強処理」は、カタログスペックには現れない、時間とコストのかかる作業です。しかし、お客様の設備が一日でも長く安定稼働すること、予期せぬダウンタイム(稼働停止)による莫大な損失を防ぐことこそが、私たちの使命だと考えています。
「修理したのに、また壊れた」は、もう終わりにしませんか?
モーターの熱や振動、繰り返すトラブルでお困りの際は、ぜひ一度、三和電機にご相談ください。他社とは一味違う、確かな技術でお応えします。