モーターの故障
モーターの故障原因には種々ありますが、大きく分けるとステータコイル巻線の損傷、ベアリングの固着などがほとんどと思います。ただしベアリングの固着については、固着したことが原因で過電流が流れ、結果としてコイル巻線の損傷に至っているのが現状ではないでしょうか?ベアリングの固着・潤滑不足で発見できるのは、定期的な点検を行っているケースだけとも言えます。
コイル巻線の損傷につきましては、コイル巻線の絶縁劣化によるものが多いと思われていますが、上述したベアリングの固着による過電流も予想以上に多いと思います。
ベアリングの固着
ベアリングの固着とは、ベアリングの内部にグリスが無くなった状態、もしくは劣化して干からびた状態をいいます。実際にグリス潤滑が無くなった状態で運転すると、ベアリングのボール、またはローラーが金属防止の摩擦で摩耗し、ギャップが拡大します。さらにそのまま使用しますと、回転体であるローラーが中心にいられなくなり、電磁力の伝達が不均一発生。最終的にはモーターの振動となります。さらにその状態に気が付かないとベアリング内の金属同士が噛み込み、ロックして止まります。
ベアリングがロックした後は、ブレーカーが作動するまでは電流が流れ続け、ブレーカーが作動するまで持たない場合はステータコイルが焼損します。ベアリングロックは、ベアリング部分の温度・振動・音を日常的に観察していれば見つけられます。これはまた別の項目で。
ステータコイル巻線の損傷
ステータコイル巻線の焼損とはその文字の通り、コイル電線が焼け電線の絶縁が無くなることでです。しかしその結果に至る道のりは意外と一つではないと思います。
使い方、年数、環境いろいろなケースで異なりますが、一定の予測は出来ると思います。
低圧モーターのステータコイル巻線の損傷
低圧モーターのステータコイルは、適正な条件下で使用されていればそう簡単には焼損・故障しません。通常では10年以上の使用は可能となります。これ以下ですとなにかしらの原因を考える必要があると言えます。
新品でモーターを買ったが中国製。申し訳ございませんが、結果として経験的に長持ちしていないといえます。偶然であることを否定はしませんが、寿命が短い印象です。もちろん保証期間内に故障することは少ないですし、圧倒的なコストパフォーマンスは導入時に大変魅力的です。導入する部位により使用するか、予備機を多数用意しておくのが最善と言えます。逆に国内メーカー品は、高価ですがその分寿命が長いと言えます。その点で使い分けるのは良いことかと思います。
新品の低圧モーターのステータコイル巻線の損傷は購入したケースで予測できるとも言えます。巻き替え修理を行った場合は、その修理メーカーに依存していると言えます。焼損したコイルの抜きかた、巻替えるステータコイルの作り方・入れ方などにより、寿命が異なってきます。メーカーというよりも、誰が修理したか?と言った方がわかりやすいかもしれません。手作業ですので完全に人に依存します。高齢化すればエラーも出やすくなります。信頼のできる人とつきあいことをお勧めします。
高圧モーターのステータコイル巻線の損傷
高圧モーターのステータコイル巻線の損傷は、主に経年劣化で生じます。高圧電動機のステータコイルは電磁振動や熱などにより使用時間分だけ絶縁が劣化していきます。絶縁診断などにより劣化状況を診断してくれるメーカーさんも多数存在します。一般的には10年以上の寿命は確保されています。長い間安定的に使用したいならば、かかりつけの医者(メーカー)を決め、健康診断(メンテナンス)を定期的に受けることです。メンテナンス費用はかかりますが、30年安定的に使用すると考えれば安いと思います。最近耳にする設備の火災などは、多くの損害(設備、売上)をもたらします。