生産ラインで使われていたモーターが煙を上げたと聞き、修理の依頼が入りました。モーターの中を開けて見てみると見事に焼損していたため、モーターの巻替え修理を実施しました。通常ではここまで燃える前にモーターは止まりそうなものですが、全体が完全に燃えるまで頑張ってくれたようです。
焼損したコイルを取り除き、鉄心の清掃を実施します。焼損したコイルは絶縁が焼けてしまっているため再度使用したりすることはできません。焼けたコイルは取り除き、新しい電線でコイルを巻きなおし、また鉄心に組み込みます。写真に写っているものがモーターコアで、残っていたニスや絶縁を取り除いた状態です。
寸法を調べ新しいコイルを巻きなおします。モーターによって入っているコイルの本数や形状は様々です。結線の方法も様々ですので分解の前にある程度の調査は必要です。鉄心にコイルを組み込む際には間に絶縁紙を入れてコイルが直接鉄心に触れない様にします。写真の様にコイルを縛ってまとめて、ニス含浸を行い、コイルを固めていきます。
写真はコイルの含浸後のものです。ニスがコイルの間に入ることによって、放熱性がよくなり、振動にもつよくなり様々な効果があります。このニスも経年劣化しますので、あまりに古いモーターの場合はニスがカラカラになっていることもありますので注意が必要です。
修理した固定子と回転子を組み立てます。もちろん古いベアリングも新しいベアリングに交換します。回転試験などして異常などないことを確認して、修理が完了します。モーターの焼損の原因は様々ですが、今回のモーターは負荷が大きく、振動も大きく、熱い上に湿気があり、長時間運転を続けるというモーターにとってはなかなか厳しい環境でした。お客様もこのことに関しては重々承知の上で、予備のモーターも用意してくれているのが救いでした。モーターの修理をさせていただきありがとうございました。今後は、定期メンテナンスをさせていただければと思います。