PMモーターのオーバーホールでは何が出来るのでしょうか?

永久磁石が使用されているモーターのオーバーホールです。主にベアリング交換、ロータ―の磁力確認、ステータ―コイルの健全性確認、ステータコイルの再含侵、ステータコイルの巻替えなどの工程があります。ベアリングの外周部が劣化していた場合は、溶射、メタルブッシュ入れなどでの対応もあります。作業時の最大の問題は組立と言えます。意外と無理をすれば分解は出来ると思いますが、組立ては小型でもネオジウムにより1トンを超える強力な磁力が発生し、相応の方案・治具がなければ無理です。組立で無理をすればケガや破損につながります。

PMモーターのオーバーホール:分解とは?

日本国内で製作されたPMモーターは、概ね一定の法則基づいて設計・製作されています。逆に言えば、ネオジム磁石の磁力を利用する方法はそれほど多くはないといえます。その理論に基づいて検討すれば、分解・組立する方法が見えてきます。特に分解しながら組立方法を検討するのが重要です。組立は必ずできます。だからこそ製造メーカーが出荷出来たのですから。但し、基本原則としましては製造メーカーに依頼してください。製造メーカーが対応しないケースにつきましては協力させていただきます。

PMモーターのオーバーホール:電気検査とは?

PMモーターは分解してしまえば、ステータ―コイルは低圧モーターと同じと言えます。ほとんどが電線は丸線ですし、拾いこみの状態になっています。電気検査も巻線抵抗検査、絶縁抵抗検査、インパルス試験など一般的な試験で対応可能です。受入れ時と完成時に実施しているます。なおPMモーターの耐圧試験は原則としてお断りしております。相談には応じます。

PMモーターのオーバーホール:磁力検査とは?

回転子、ローターに埋め込まれている磁石の磁力確認です。主な目的はローターの円周上に配置されている磁石の力が均一化確認します。ステータ―コイルが焼損したときなど、熱的影響が磁石に生じますと、磁石が部分的に減磁する可能性があります。ネオジムの磁力は概ね既知ですので、それとの比較検討も行っております。あくまでも参考値という扱いにはなりますが、安定回転には重要です。

PMモーターのオーバーホール:回転試験とは?

PMモーターは専用のインバーター駆動装置で制御されます。その制御装置なしで駆動させるのは難しいため、外力によりPMモーターを回転させ、誘起電圧と軸受部の異音、振動などを検査しております。この方法により専用の制御装置がなくとも一定の評価試験ができると考えております。外部からの回転には制御がしやすい直流モーターを使用しております。回転数とトルクが制御しやすい利点があります。また社内でのメンテナンスも容易に行えます。現在はGE製の半世紀以上前のモーターをレストアして使用中です。

写真のPMモーターは何に使用されていますか?

エレベーター用の駆動モーターです。最新の注意を払って作業しております。

お願い事項 :試しに分解しないでください!

そのままの意味です。電話での相談にも応じますので、試しに分解しないでください。ローターの外表面に傷などがつき、性能に悪影響が出ます。どうぞよろしくお願いいたします。