私たちモーターの修理・メンテナンスに携わる者にとりまして、ベアリングは単なる交換部品ではなく、修理の品質と信頼性を決定づける、まさに「心臓部」とも言える最も重要な構成要素の一つです。
中でも、国内の大手メーカー様が製造される「日本製」のベアリングは、その卓越した品質と安定性から、長年にわたり絶対的な信頼を置き、お客様にも自信をもって推奨してまいりました。指先で回転させた際の滑らかさや、寸分の狂いもなく軸に収まる精密な感触は、修理後の長期的な安定稼働を確信させてくれるものでした。
品質こそが、お客様との信頼の礎です
昨今、多くのメーカー様が生産拠点を海外へ移されているという潮流は、私どもも承知しております。グローバルな市場競争における経営判断として理解しつつも、日々製品に直接触れる現場の立場としましては、品質の維持という点において、正直なところ一抹の不安を禁じえません。
ご存知の通り、モーターの性能はベアリングのミクロン単位の精度に大きく左右されます。軌道面のわずかな粗さや寸法のばらつきが、異音や振動、ひいては装置全体の寿命を縮める早期故障の原因となり得ます。そしてその時、お客様からのご指摘を直接お受けするのは、部品を選定し、修理を施した私たち施工業者です。お客様との間で長年かけて築き上げてきた信頼関係が、一つの部品によって揺らぐことだけは、何としても避けなければなりません。
ブランドへの信頼を、これからもメーカーの皆様におかれましては、最新鋭の生産設備を導入されたり、国内の「マザー工場」から技術指導を行われたりと、グローバルで品質を均一化するために最大限の努力を払われていることと拝察いたします。
しかしながら、長年の経験によって培われた職人の細やかな感覚や、「これくらいで良い」という妥協を一切許さない厳格な品質管理の精神、いわば目には見えない「ものづくりの文化」までも、完全に移管することは大変なご苦労が伴うのではないでしょうか。同じブランドの製品であっても、生産国によって品質に差異が生じる可能性を、私たちは懸念しております。
私たちの願いは、ただ一つでございます。時代の変化に対応されながらも、どうかその品質へのこだわりだけは、決して揺るがせることのないようにしていただきたいのです。
これからも私たちがお客様に対し、自信を持って「心臓部には、信頼性の高いトップブランドの部品を使用しておりますのでご安心ください」とご説明し続けられること。メーカーの皆様が世界で挑戦されるその先で、長年かけて築かれたブランドへの信頼が決して揺らぐことのないよう、弛まぬ品質の追求を続けていただくことを、現場から切に願っております。そのことが、私たちの仕事、ひいては日本の「ものづくり」全体の信頼を支える礎になると、固く信じております。